豆からコーヒーになるまで

コーヒー豆の挽き具合

コーヒーを淹れるためには、まず、コーヒー豆を挽いて粒状にしなければいけません。この作業をグラインドといい、コーヒー豆を挽く為の器具をコーヒーミルといいます。

コーヒーの挽き具合は、挽いた豆の粒の大きさ(粒度)により呼び方が変わります。

その基本的な分類は、大きく分けて3分類(細挽き、中挽き、あら挽き)ですが、最近では、エスプレッソを淹れる際に使用する「極細挽き」や、「あら挽き」と「中挽き」の間の「中あら挽き」などがあります。

[関連記事] コーヒーミルを購入する(手動) 、 コーヒーミルを購入する(電動)


なぜ挽き具合が違うの?

このように同じコーヒを淹れるのでも、なぜ異なる挽き具合があるのか?

それは、コーヒーを淹れる為の器具の特長によって、適した豆の挽き具合があるからで、その器具にあった挽き具合を選ばないと、豆の香りや味などの特徴が活かせないからです。

豆を挽くタイミングは?

挽いた豆は、湿気などを吸い酸化しやすく、風味の悪化が早くなってしまいます。
このことからも、豆を挽くのは飲みたい時に飲みたい量だけ挽くのが一番です。
豆の挽き具合およびその特徴を下表に整理しましたので、参考にしてください。

挽き具合

←細          荒→

極細挽き

細挽き

中挽き

中あら挽き

あら挽き

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マキネッタで淹れる

エスプレッソマシンで淹れる

ミルの種類(手動)

ミルの種類(電動)

[コーヒー用語辞典]

マキネッタ

エスプレッソマシン

極細挽き

【適した抽出器具】

エスプレッソメーカー、マキネッタ

【特徴】

白糖程度の大きさの粒。

濃厚なコーヒー(エスプレッソ)を抽出するのに最適

極細挽き

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マキネッタでの淹れ方

エスプレッソマシンでの淹れ方

エスプレッソメーカーの種類

[コーヒー用語辞典]

マキネッタ

エスプレッソマシン

細挽き

【適した抽出器具】

ペーパードリップ、サイフォン

【特徴】

グラニュー糖程度の大きさの粒。

濃厚なコーヒーを抽出するのに最適

細挽き

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ペーパードリップでの淹れ方

サイフォンでの淹れ方

ドリッパーの種類

サイフォンの種類

[コーヒー用語辞典]

ネルドリップ

コーヒーメーカー

中挽き

【適した抽出器具】

ペーパー・ドルップ、ネルドリップ、コーヒーメーカー

【特徴】

ザラメ糖とグラニュー糖の中間程度の大きさ。

最も一般的な挽き具合

中挽き

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ペーパードリップでの淹れ方

ネルドリップでの淹れ方

コーヒーメーカーの種類

[コーヒー用語辞典]
ネルドリップ
コーヒーメーカー

中あら挽き

【適した抽出器具】

ペーパードリップ、ネルドリップ

【特徴】

ザラメ糖よりも少し小さめ。

深入り焙煎の豆を抽出するのに最適

中あら挽き

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ペーパードリップでの淹れ方

ネルドリップでの淹れ方

ドリッパーの種類

[コーヒー用語辞典]

ペーパードリップ

ネルドリップ

あら挽き

【適した抽出器具】

パーコレーター

【特徴】

ザラメ糖程度の大きさ。

パーコレーターなどのお湯で直接煮出して抽出する方法に最適

あら挽き

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[コーヒー用語辞典]

パーコレーター

コーヒー豆の焙煎

焙煎(ロースト)とは、生豆を火力により煎じることにより、コーヒー独特の色(セピア)、芳香(アロマ)、風味(テイスト)を作り出す作業であり、美味しくコーヒーを楽しむ為には、目的にあった焙煎(ロースト)を行うことが必要になります。

通常コーヒーの味の8-9割は、この焙煎で決まってしまうと言われるほど重要な工程なのです。

焙煎の度合いは8段階に分けることができ、浅いほうから「ライトロースト」、「シナモンロースト」、「ミディアムロースト」、「ハイロースト」、「シティロースト」、「フルシティロースト」、「フレンチロースト」、「イタリアンロースト」と呼ばれています。

これらの焙煎度合いと特徴は、以下に示したとおりです。


煎り度合 カフェイン 段階 詳細
浅い


深い

多い


少い

酸味


苦味

ライトロースト

詳細

シナモンロースト

詳細

ミディアムロースト

詳細

ハイロースト

詳細

シティロースト

詳細

フルシティロースト

詳細

フレンチロースト

詳細

イタリアンロースト

詳細

ライトロースト

【適した淹れ方】 : 官能試験用

【外見の特徴】 : 黄色がかった小麦色

【味の特徴】

少々生臭い香りがし、コクが感じられないため一般に飲まれることはほとんどない。

ライトロースト

シナモンロースト

【適した淹れ方】 : ブラックコーヒー

【外見の特徴】  : シナモン色

【特徴】

ポピュラーな浅煎りで、強い酸味とこうばしい香りが楽しめ、ブルーマウンテンのような高品質の豆であるほど、切れのある酸味が味わえます。

シナモンロースト

ミディアムロースト

【適した淹れ方】 : アメリカンコーヒー

【外見の特徴】  : 茶褐色

【特徴】

まろやかな酸味に加え、コーヒーらしい香りと苦味が楽しめる。

ミディアムロースト

ハイロースト

【適した淹れ方】 : レギュラーコーヒー

【外見の特徴】  : やや濃い茶褐色

【特徴】

酸味に程よく調和した苦みが出てくるようなバランスの取れたコーヒーが味わえる。

ハイロースト

シティロースト

【適した淹れ方】 : レギュラーコーヒー

【外見の特徴】  : 深褐色

【特徴】

喫茶店や家庭などで最も需要の多いロースト。酸味より苦みが強く、やや焦げ臭い。

シティロースト

フルシティロースト

【適した淹れ方】 : アイスコーヒー

【外見の特徴】  : やや黒色

【特徴】

酸味がなくなり、焦げ臭さも強くなる。炭火焼コーヒーと同じ程度の焙煎度。

フルシティロースト

フレンチロースト

【適した淹れ方】 : カフェオレ等のミルクを使うアレンジコーヒー

【外見の特徴】  : 黒色に近い

【特徴】

苦みがかなり強く、豆色は少し黒味を帯びてくる。

フレンチロースト

イタリアンロースト

【適した淹れ方】 : エスプレッソ

【外見の特徴】  : ほとんど黒色

【特徴】

苦味が相当強く、好きな人は苦味を味わえるロースト。豆の表面に油脂成分が浮いてくる。

イタリアンロースト

コーヒー豆の精製

コーヒーの精製とは、収穫されたコーヒーの果実(コーヒーチェリー)からコーヒー豆を取り出す工程のことを言います。
そのコーヒーの精製には主に非水洗式水洗式の二種類に分けられます。

豆の精製は、主にコーヒー農場などの生産地で行われることが多いようです。精製をすませたコーヒー豆は生豆と呼ばれ、カビなどの発生を防ぐために水分含量が10-12%になるよう乾燥して保管され、消費地に輸出されます。

以下に、精製方法である「非水洗式」と「水洗式」の特徴を整理しました。


非水洗式(アンウォッシュド)

古くから行われている精製方法であり、水の便の悪い産地でも行えるという利点があります。

ブラジルの大部分や、他の産地の小規模農園で栽培されているロブスタ種に対して行われることが多いようです。

収穫した果実を乾燥場に平らに広げ天日干しを行う方法で、乾燥に要する時間は果実の完熟度合いで異なります。完熟した黒い実では1-3日程度、未熟な緑色の実では2週間ほどの期間が必要となります。

乾燥を均一化するために、1日に数度攪拌が行われます。乾燥後、外皮果肉、内果皮などを機械的に取り除く。50℃で3日程度乾燥する機械乾燥も行われている。

水洗式(ウォッシュド)

非水洗式に比べてコーヒー豆の見た目が整いやすく商品価値が高くなる利点があります。

ブラジル以外の産地でアラビカ種に対して行われることが多い方法です。

収穫した果実はまず約1日水につけられ、そこで浮いてきた未熟果実が除去されます。外皮と果肉を大まかに機械的に取り除いた後、発酵槽と呼ばれる水槽に1日から2日つけておきます。この過程で、果肉と発酵槽に生息する水中微生物の持つペクチン分解酵素の働きにより種子を取り囲むペクチン層が分解されます。

水洗いして乾燥させた後、精製工場に出荷され、そこで内果皮を機械により取り除いてコーヒー豆となります。

内果皮を取り除く前のものをパーチメントコーヒーと呼び、この状態で輸出される場合もあります。

乾燥を均一化するために、1日に数度攪拌が行われます。乾燥後、外皮と果肉、内果皮などを機械的に取り除く。50℃で3日程度乾燥する機械乾燥も行われている。

コーヒー豆の生産

コーヒー豆の産地は、赤道を中心として北緯25°南緯25°の間に帯状に広がっており、この熱帯や亜熱帯に属する地域は、コーヒーベルトまたはコーヒーゾーンと呼ばれています(下図参照)。

コーヒーベルト

は主な原産地(クリックすると豆の銘柄の特徴が見れます)


コーヒー豆の生産地について

コーヒー豆を栽培している国は現在60数カ国にものぼり、日本ではこれらの国々から、様々な種類のコーヒーを輸入しています。

コーヒーの栽培が最も盛んなのは中南米で、世界の生産料の約60%はこの地域で占められています。なかでも世界第1位の生産量を誇るのがブラジルです。ブラジルは世界の総生産量の約30%を占めており、第2位であるコロンビアの10%に大きく水を開けています。

その他の地域では、タンザニアやイエメンなどのアラビア・アフリカ地域、インドネシアなどの東南アジア地域の生産量も多いです。

コーヒーベルトなら、どこでも良く育つという訳ではありません。標高は高いほど(標高1,500m以上)、良質なコーヒーが収穫できると言われています。しかし霜害を避ける必要があるので、収穫できる標高は限られてきます。

その他にも、平均最低気温15℃-平均最高気温30℃の間、十分な雨量も必要、日照は大事だけど強烈な直射日光はダメ等々。良質なコーヒーを目指すとなると、結構条件が多くなってきます。

コロンビア(エメラルドマウンテン) ジャマイカ(ブルーマウンテン) グアテマラ(グアテマラ) ブラジル(ブラジル) インドネシア(マンデリン) ハワイ島(コナ) イエメン(モカ) タンザニア(キリマンジャロ)